ジャンプTOON

第4回ジャンプTOON AWARD タテマンガ新人大賞 結果発表

受賞作品

大賞 賞金100万円

ジャンプTOONで連載確約&受賞作掲載

CLIP STUDIO PAINT EX 2デバイスプラン3年版

BRAVE HUNTER 表紙

BRAVE HUNTER

川口泰一

異世界を運営・管理する少女・ケルベロス。彼女の仕事は、チート能力を持ってやって来た転生者(チーター)からこの異世界を守ること。ある日、ケルベロスの前に「勇者」を名乗る1人の転生者が現れて──。

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岸馬きらく 先生

この人は天才だと思います。天才なのでもっと「話の意外性」出してもいいのかなと思いました。「想像の斜め上」というやつです。今回はありがちな設定部分を長々と説明してるのでそこが退屈でした。天才がもったいない。

酒ヶ峰ある 先生

主人公のケルベロスちゃんがかわいいー!ミリタリーな描き込みもかっこよすぎですね。

全体的にも、描き込みが多いのに抜け感もあり何が起こってるのか見やすくて、描き文字も無骨でオシャレです。

転生ものかと思いきや初っ端から裏切られるのが心地よく、ちょっと設定がむずかしかったのですが惹き込まれました。

癖がゴリゴリに滲み出ていて画力も高いし最高ですね。ちびドラゴンと共に行動してくれるのが萌えます。2人の行く末が気になります。

三浦糀 先生

カッコ良い絵で世界観を作り込めるのは良いことだと思います。しかし、あまりにも文字で説明しすぎな印象を受けました。自分で読み返して、説明をしていない台詞を数えてみてください。やっていることがカッコ良いだけに勿体ないです。もっとセリフを減らして絵で表現できる題材を選んで描くことも意識してみてください。

松本直也 先生

かなりハイレベルな作家さんだと思いました。

ビジュアルを作る能力がプロの中でも目立てるレベルで、まずバナーの絵がすごくカッコいい。肝心の漫画内の絵はというと、そこにさらにキャッチーさやケレン味を足したような感じでさらに良かったです。特定のジャンルのあるあるを逆手に取るやり方はほとんどの場合出オチになってしまうんですが、持ち前の画力と演出力でメインの設定に惹き込み、しっかり最初のインパクトだけで終わらないように作られていました。仮想世界の管理側という視点はSFを読む層からすると目新しい設定ではないんでしょうが、異世界転生あるあるカウンターとの合わせ技は多くの人に十分新鮮な体験として映ると思います。

やや読者を選ぶ敷居の高さは感じたので、間口を広げるならもう少し設定の説明を削ぎ落としても良いと思います。あえてふるいにかけにいくならこのままでいい。

ヒロインのガンアクションを派手さ優先ではなくプロフェッショナルに見える動きの範疇で描いてるのが「剣と魔法の異世界」との間にいいギャップを生み出していて、こういう魅力のキモの押さえかたへの感覚も鋭い人なんだろうなと感じました。あとは作品の雰囲気を殺さずに、絶対的なアイコンになるようなキャラクターが作れたらすぐにでもプロの世界で通用しちゃうんじゃないかと思います。「かっこいい」が作れる人は強いです。

編集部講評

デザインや描き込み、構図など、見せ方へのこだわりが強く、個性を感じさせる画面作りができている点を高く評価した。また、「異世界転生」を逆手に取った意外性のあるツカミもあり、読者の興味を引く力も感じられた。一方で、用語の多さも相まって内容が伝わりづらい印象も。設定だけでなく、キャラクターにも尺を割いて描いてみてほしい。

準大賞 賞金50万円

ジャンプTOONで受賞作掲載

CLIP STUDIO PAINT EX 2デバイスプラン3年版

滅亡を歩くクソキャラ 表紙

滅亡を歩くクソキャラ

HD・WJ

アンデッドに占領された現代。人々にはファンタジーゲームのような「職業」が与えられた。不幸続きの男コン・ソヌが得たのは最下級の「見習い修道士」だった...。しかし、その職業にはこの世界で生き残るための最強の力が秘められていて...?

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岸馬きらく 先生

めっちゃ読みやすいです。楽しい話を読ませてもらいました。一つ気になったところはこの話を「どう自分ごととして見ればいいのかな?」というところでした。外から見てちょっと楽しめるのは間違い無いですが、作品に没入して心から没頭するのが少し難しかったかもしれません。

酒ヶ峰ある 先生

薄汚れて無精髭のおじさんから聖なる浄化の波動が放たれるギャップが良いですね!

モンスターや服や武器のデザインが素敵です。いいな〜!

ドアとウンジのツッコミ男女バディも愛嬌がありすんなり受け入れられるし、デスナイトも隙があり魅力的です。

構図もよく読みやすく、ゾンビが斬られたり滅されていく勢いと爽快感がありました。主人公がプールに落とされる瞬間の絵が好きです。

若干、冒頭の主人公のモノローグが長い気がするので、もっと早くこのマンガのつかみ(職業ガチャ失敗)を持ってきてもいいのかな?と思いました。

この髪型の主人公の漫画が大人気になるイメージがあまり湧かないですが、斬新であり肝だと思うので応援したいですね。ここからどんどん面白くなりそうです!

三浦糀 先生

全体的にクオリティが高く、縦漫画に適した描きっぷりでした。ゲームのような世界観で様々な職業が出てくるのもワクワク感がありました。主人公の良い意味でのクソさをもっともっと出しつつ、そこから活躍する気持ち良さを出していってほしいです。さらに付け加えるならば、他のキャラがもう少し出てくるとさらに面白くなりそうだと感じました。

松本直也 先生

よくある既存のパターンに対してのカウンター的構造なんですが、キャラクター回しが上手なので楽しく読めました。この手の作品にありがちな、序盤で悪者を必死で悪く描いたり主人公の悲惨さを過剰に演出することにリソースを割くやり方だと、作品のバランスがシチュエーション重視になり結局キャラクターが立たず結果作品に商品価値も発生しないという悪循環に陥りがち。この作品はいい意味でライトでリソースがキャラクターに振られていたのが良かったです。

ただ主人公がクソキャラを割り当てられたのに突出して強い事への説得力がやや弱く、ずっとモヤモヤは残りました。真面目な理由をつける必要はないし本当の理由は後々明かされる前提でいいから、周りのキャラが「そんなわけあるか!」とツッコんでしまうような彼らしいギャグを交えた理由のアイディアがもう一つ入っていると雑念なく武器であるキャラクター回しを楽しめたと思います。

「面白い」だけではなく、それを振り幅に使ってもっと「カッコいい」や「かわいい」を作る力をつける必要はありますが、キャラクター重視で作品を作る意識は素晴らしいと思います。

編集部講評

1%の可能性に賭けて愚かな決断をしてしまう姿をはじめ、クズな底辺ギャンブラーとして主人公のキャラ性をよく描けていた。また、「ハズレスキルが実は最強」という読者の快感を刺激する要素もあり満足度の高い作品だった。作画面でのレベルアップとして、読者の共感や憧れを得られる、好感度の高いキャラデザを目指してほしい。

GIRLFRIEND 表紙

GIRLFRIEND

藤麻

周囲に気を遣い、本音を言えない女子高生・墨田。そんな彼女の悩みを取り払ってくれたのは一匹狼の生徒会長・南だった。「まっすぐ言わないと、伝えたいことが伝わりきらないじゃん」。南の言葉に救われた墨田は次第に想いを寄せ始める──。

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岸馬きらく 先生

心情の表現上手いです。どうかそのスタイルを貫き通して欲しい。

酒ヶ峰ある 先生

普通に楽しんで読んじゃいました!!読んで元気になりました!

つかみもよく、主人公に共感できて応援したくなりました。

唐突に出てくる明らかにクラスメイトと空気感の違う南さんでドキっとしました!独特な髪飾りが漫画的なフックがあって良い。小柄で可愛いな!と思ったらバッサリと切り捨てられ、しかし嫌な感じはしない。人の心を動かしてくるキャラですね。

対するスミちゃんのリアクションも抜群でした(笑)

無駄なところがなく演出力が高く、爽やかで綺麗な漫画でした!いいなー!

三浦糀 先生

主人公の感情描写が丁寧で共感できました。南さんのキャラも良かったです。ただ、周りのキャラがやや舞台装置に見えてしまったのが残念でした。個人的にはもう少し南さんとのシーンがあった方が恋愛の面白さが出たように感じるのと、鞄のくだりで高瀬くんが南さんと似たようなことを言っていたのがすごく勿体なく感じました。

松本直也 先生

ずっと同じ形と大きさのコマが続くのにそれを感じさせない構成力と画面作りの上手さを感じました。この描き方でちゃんと見せ場が見せ場に見えるのは演出力があるからだと思います。2話で物語が動き始めてから先は最後まで一気に読ませるパワーが発生していて、終わり方も良かったです。ただ、1話目に難が多かったと思います。

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具体的に言うと、1話全体が段取りっぽくてうっすらと「話の筋とキャラクター性と感情を押し付けられている感覚」がずっとありました。

原因の一つはキャラ達が悪い意味でステレオタイプから外れていて腑に落ち無いからかと思います。例えば南さんの頭のアクセサリーが世界観と合っておらず、「アニメキャラの装飾をつけてる感じの変わった子なのかな?」と飲み込んだら、男子たちからモテる高嶺の花という噛み合わない情報が入ってきたり、カバンを突き返すシーンでは陽キャグループの子達はビビって反発もせず謝り、いじめ気質なのかと思ったら本当に悪気なくやってたような描写が入り「そんな奴いるか?」と混乱したりと、人物たちの存在や行動に度々小さな違和感を感じて物語にいらない雑念が走り続けてしまいました。

「逆フリ」が弱い事も感じました。南さんが序盤で湿布をくれるシーンと後半鞄の件で助けてくれるシーンが同じ属性なので逆フリになっておらず、助けてくれる事や物怖じせずはっきり言うこと、「嫌なことは嫌って言いなよ」と伝えてくれる優しさなどが全て二度目に見た念押し的なものになっており意外性のあるギャップや魅力に昇華されていない。そのためいまいち主人公と一緒に「カッコいい!」と感動できず、肝腎要の主人公の感情の変化をその後の展開のために必要な設定として飲み込まなくてはいけない感覚になってしまいました。

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2話に関しては関係性の建て付けが終わったことで飲み込むものが無くなり、ストーリーを進めることに焦点が絞られたおかげで感情にも同調しやすく、1話よりも遥かに読みやすく素直に楽しめました。最終的に落ち着いた2人の関係性もほっこりできて良かったです。

編集部講評

喜怒哀楽をはじめ、バリエーション豊かに表情を描けている点を高く評価した。また、シーンごとにカラーを使い分け、画面を効果的に演出できている点も良かった。ストーリーは丁寧な反面、やや印象に残りにくい部分も。独自の価値観や意外な一面を掘り下げ、読者の記憶に残るキャラクターを生み出してほしい。

70m、その先へ。 表紙

70m、その先へ。

福島優紀

高校生アーチェリー選手権・東北大会決勝。張り詰めた空気の中、田中が対峙するのは幼い頃から競い合ってきた親友にして最大のライバル・水口。互いのすべてを知る2人が、最後の一射に懸ける!勝利を掴むのは、果たしてどっちだ!?

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岸馬きらく 先生

僕好みです。熱いですね。好みすぎて贔屓目が入ってしまってるかも。少なくとも読みやすさや緊迫感のある構図を作る能力は高いと思います。

酒ヶ峰ある 先生

キャラのアップとロングの絵、セリフの大きさのメリハリが決まってていいですね!

最初の決勝会場の広がる絵が気持ちよかったです。

健太と水口くん、対照的な2人であることは伝わるのですが、目の輝きや頬の赤み等表情が近く、似たキャラに見えてしまうので、普段の表情の差がわかりやすくある方が(いつも無表情の人と、勝ち気な顔の人とか)、2人が絡む面白さが絵的に増すのではと思いました!

縦漫画を生かした心拍の表現、とても素敵でした!ここぞ!という盛り上がりの場面でも使ってもよかったと思います!

読者への良い裏切りが最後まで散りばめられて良かったです!

ただ、鬱屈とした表現が上手いし長く続いたからか、読後も少し暗い印象が残る気がします。健太かっこいいのですが、らしくない怒りで取り乱すくらい行ってしまうのも逆に爽やかでありかもしれません!

三浦糀 先生

キャラを真摯に描けるのは武器だと思います。アーチェリーが縦漫画にぴったりで、構えた立ち絵などカッコ良かったです。メイン2人のキャラの信念は同じでも、性格にもう少し差が生まれると作品に幅が出て良かったかもしれません。

松本直也 先生

アーチェリーというテーマと、場面を限定してアツいものを描くという一点に絞り切った潔さがマッチしていて良かっです。動きの少ないスポーツだけど工夫して単調にならない見せ方をしていたのも巧かったです。

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シンプルで読みやすかったんですが、展開重視でキャラクターの立ちが甘いため想像を超えるような驚きに乏しかったように思います。展開として「何をやるか」にはそれを作ろうとしているのが感じられるんですが、「誰がやるか」を作りきれなかった印象。もっとキャラクターを作る分野の能力を高め、さらにハッタリの効いた凄みやスポーツのアツさを損なわない性格上の癖の付け方などキャラクター演出の引き出しが増えると、相乗効果で展開に仕込んでいる予想を越えようとする狙いも活きてくると思います。

編集部講評

才能に恵まれない主人公の悔しさと、それを跳ね除ける精神力がひしひしと伝わってきた。また、アーチェリーという競技の見せ方も上手く、競技説明のシーンも面白く読めた。一方で、心情は伝わるものの、キャラクターの個性や魅力はまだ掘り下げる余地があると感じた。「どんな主人公なのか」を追求しキャラクター造形をさらに深めてほしい。

佳作 賞金20万円

ジャンプTOONで受賞作掲載

CLIP STUDIO PAINT EX 1デバイスプラン1年版

アンドレア史話 表紙

アンドレア史話

海鳴駄韋子

紀元前1200年、青銅器時代の地中海。幼い頃、兄をヒッタイト兵に連れ去られたヨウは復讐を胸に生きてきた。彼に命を救われた盲目の少女ハルカは、恩を返すため戦術の知識を授ける。戦術を得たヨウは傭兵3人を相手取るが...?

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岸馬きらく 先生

読んでいくとスルメのようにじわじわ面白くなります。面白くなるまでのわかりやすさとスピード感とヒキを意識すれば、もっと良くなるかと。まずは最初の1ページで、圧倒的に続きが気になるというのをやってみるといいかもしれません。

酒ヶ峰ある 先生

勢いと力強さのある絵で、見せゴマもかっこ良かったです。小屋が燃え上がるシーンの炎の揺らめきも怖くて綺麗でしたね。

人物の筋肉感や大人と子どもの体格差の意識を強めると、より戦闘シーンに見栄えがするかと思います!

読みやすく感情も揺さぶられるのですが、主人公の印象を序盤からもっと際立たせられるかなと思いました。アップの時に顔の傷を目立たせたり、「墓場に住み着いている不気味な少年」「民から嫌われ遠巻きにされている」ことを絵でしっかり見せても良かったかなと。

兄に関する描写も少し足すと読者がより一歩近づける気がします!

三浦糀 先生

キャラがその世界で生きている感じがあり、アクションも縦を生かした構図で良かったです。自分の漫画を描けている作家さんだと思うのですが、もう少し描く感情のテンションの幅が広がると、たくさんの人に読んでもらえると思います。キャラを好きになってもらう意識を大切にしてください。

松本直也 先生

印象的なシーンを作る事や場面場面のディティールを作る能力が高いと感じました。画力は未熟ですが、より得難い表現力に光るものがあり、これは絵が上手い事よりずっと価値のあるものだと思います。

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商業的な目線で見ると、途中何度か置き去りにされる感覚があったので、もう少し読者とキャッチボールする感覚で描けるといいのかなと思います。これは読み方を示さずに場面を進める描き方が続くためだと感じました。このやり方は導入で読者を引き込む為にやる分には効果的なんですが、商業誌を意識した時には連発を避け、読者が状況を整理して欲しいタイミングでは一度そこから先の読み方をしっかり示すフェーズを入れてメリハリつけたほうがより多くの読者がついてきやすい筈です。

主人公とヒロインがそれぞれ武と知を担う構成ですが、どちらも特別そこにカリスマ性が発生するような魅力的な演出や設定、エピソードが無く、とくにヒロインのそれは唐突な感じがあり、この二人が組んで旅立ったならこの先巻き込まれていく動乱の中で面白い事が起こりそうだぞ!という期待がいまいち膨らみ切らなかった印象でした。

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期待や読み方という大枠のエンタメを作る力が弱いですが、より難しいはずの場面場面の演出など細部のエンタメを作る力が高いので、メジャー商業誌を目指すならそこを活かしながら前者を鍛えてみて欲しいです。マイナー紙で限られた読者層を相手に描くならこのまま上手くなっていくだけでも形になりそう。

編集部講評

「戦術」を学びながら強くなっていく様子から主人公の成長と可能性を感じられたし、そこに「不撓不屈」という+1のアイデアまで加えて盛り上がりを作れているのも素晴らしい。主人公には主人公なりのルックを、ヒロインにはヒロインなりのルックを。キャラデザへの意識をより高めてほしい。

逆転勇者 表紙

逆転勇者

inko・Clapper

魔王討伐を目前に控えた勇者ライゼル一行。ついに魔王城へ辿り着くも、そこはもぬけの殻だった。するとライゼルは、何の迷いもなく魔王の玉座へ。その瞬間、すべてが覆る。勇者ライゼルこそ、討つべき魔王だったのである──!

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岸馬きらく 先生

面白いので続きを読ませて欲しいです。強いて欠点を言うなら、状況が伝わりにくいことがちょくちょくあったのでそこさえ直せば文句ないかと。

酒ヶ峰ある 先生

冒頭からシンプルに絵だけなのが入り込みやすかったです!木の剣を拾って立ち上がるシーンの眼差しがよかった!

説得力あるキャラデザインで、モンスターやエフェクトも迫力がありました。アサシンが特にいいですね!ただ、レアの上半身が吹き飛んだシーンで、ギデオンと線が重なって見づらかったのが気になりました。+空気中の塵などあると臨場感増すと思います。

しっかり日食という不穏な予兆があった上で、魔王が正体を現したのが気持ちいいですね。

割とずっと緊迫しているので、もう少しコメディパートをはさんでも良かった気がします!

三浦糀 先生

台詞無しで描く挑戦は良かったです。しかし、そのせいでキャラが分からない状態でのひっくり返しになってしまい、演出がいまひとつ生きていない感じがしました。その後も全体的にテンプレ感があり、キャラの魅力が伝わりづらかったので、ひっくり返し以外の面白さをプラスできると良かったかなと感じます。

松本直也 先生

出産というインパクトのあるシーンから入ったり、次の話を読まずにいられない強い引きを用意していたりと、読者を惹きこもうという意識の高さが見られました。

縦読みならではの方法で最序盤のセッティングをしているのも良かったです。ただ喋り出すと、予定調和なセリフが多くキャラクターとしての弱さを感じました。最初の仲間達はあえてモブっぽく描きその中に真の主人公がいるという驚きを狙ったのかもしれませんが、トレードオフで主人公と仲間達の絆が弱くなってしまったように思います。魔王のキャラクターも印象にとどまっています。

縦読みによく見られる「シチュエーションは立っているがキャラの立ちが弱い」という特徴。

アクションも上手い。特にアサシンの急襲シーンは良かったです。他の縦読み漫画同様「カラーを活かした派手でカッコいいアクション」にとどまっている為、もっとアイディアやディティールに凝る方向で魅せると他と差がつく気がします。

子供のぬいぐるみのシーンは普通に好感度が低かったため、もしギャグシーンと認識してるなら修正した方がいいタイプの読者とのズレかもしれません。意外とこういう小さな感覚のズレが作品人気を左右すると思います。逆にこういう逸脱を修正しないで武器化するなら、作家性として他の場面と連動させて魅力化する必要があり、難易度は遥かに高くなります。

読ませる力をしっかり持っている作家さんだと思います。やり過ぎになって良さが消えないよう気をつけつつ、一場面一場面やキャラクターへの意識を高めて欲しいです。

編集部講評

「勇者が実は魔王だった」という読者の予想外を作れていたり、少女の人形を借りるくだりでコミカルさを出せていたり、作家としての手札が多い点が評価に繋がった。一方で、キャラクターの魅力は弱く感じられたため、まずは主人公にどのような魅力があるのかを突き詰めてみてほしい。

FAKE 表紙

FAKE

うた

廃部寸前の新聞部を救うため、生徒会長・細井長人の助手となった丸井まるる。そんな二人のもとに、「再誕の庭」に消えた姉を捜してほしいという依頼が舞い込む。信者たちが崇める教祖・御桜様の「奇跡」とは――?

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岸馬きらく 先生

推理モノ、いいですね。現代のテーマともマッチしますし。僕は好きです。一つ言うなら、ちょっと長い気がします。もっと情報量を落としてページ数を少なくしてもこの内容を表現できるかも。

酒ヶ峰ある 先生

冒頭から、言葉も美しく惹き込まれました。白黒とカラーの使い分けもバランスが抜群で読みやすく、見せゴマもたっぷりあって引き算が上手だと思いました!丸井さん表情かわいい!

生徒会長と主人公のバディと、謎が気になって読み進めちゃいますし、読後も主人公の成長物語への期待が膨らみました。最後すっきり終わらないのがいいですね。

既視感のある設定ですが、改めて別の物語として再現できるのは、力と意欲のある描き手だなと!

ただ、「生まれ変わる=罪を許される」なのが途中までわかりにくかったので、序盤で明示してくれたほうが信者が集う納得感が最初から上がるかな?と。

そして、種明かしで木を伝って降りてくるところが、どうやって降りた?となったので、コメディチックになるとしてもしっかり手足まで描いてあるといいかなと思いました!

三浦糀 先生

作家さんの「描きたい」が先行して、それを補強するための作り込みが足りていない印象を受けました。フェイクを嫌うキャラを描きたいけれど、父親とのシーンが単なる情報に過ぎずドラマがあまり乗っていないので、一番重要な主人公のキャラが掴めない、という部分などです。既存の作品に影響を受けることは悪いことではないですが、もう少し自分なりに落とし込んで、読者にどう思ってほしいのかを考えてみると良いかもしれません。

松本直也 先生

某トリックドラマにかなり構造が似ていましたが、そこに目を瞑れば最初から最後まで面白く読めました。学生に落とし込むという変化はつけているが、もう一段オリジナル化できるともっと気にならずに楽しめるようになると思います。似てはいるもののキャラクターの描き方が上手く、表情や造形も可愛いので好感度は高かったです。

​

オチの付け方も「フェイク」とか「正義や正しさ」をテーマにしていながら独善化していないのは好感を持てました。

話の構成もしっかりしてて地力の高さを感じるので、何かをベースに敷くのはアリとしつつ、もう一段オリジナル化する上手さを手に入れたらさらに素晴らしい作品を描きそうな気配を感じます。

基礎的な力の高さを感じたからこそ、「商業的に売れる」ということを考えるとキャラクターデザインに不自然にならない範囲でもう一つアイコンとなるような要素があるといいかなと思いました。

編集部講評

ツカミをはじめ、演出に遊びやメリハリがあり、楽しく読むことができた。メインの2人も、抜け感のあるコミカルなキャラクターとして魅力的で、微笑ましい掛け合いが印象に残った。一方で、バディものとして見ると、お互いの足りない部分を補い合う相互補完の関係性が弱く、そこは惜しく感じた。

岸馬先生特別賞 賞金15万円
人斬りのムスメ 表紙

人斬りのムスメ

ヤマオロシ

天性のさらわれ癖を持つJKの入之波あおい。彼女を毎度救うのは、かつて「人斬り」と恐れられた元殺し屋の父・逆巻だった。普通の女子高生として平穏な生活を送りたいあおいだが、最強の父を持つ彼女の日常は、今日も波乱に満ちていて...?

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岸馬きらく 先生

最後にヒロインは闇に生きることを受け入れてますが、そこを受け入れるかどうかの話をもっとじっくり描けば素晴らしい連載作品になるはずです。特に言うことがないです。まあ縦読み漫画はカラーで読みたいかな、強いていうならくらいですね。

酒ヶ峰ある 先生

明るい入りからの主人公ピンチというつかみが良かったです。3コマ目、倉庫内だとわかる背景があると、より納得して読み進められるかもです。

主人公がかわいいし、お父さんも渋くてかっこいいのに溺愛っぷりのギャップがいい!悪役たちの表情も素敵。

セリフやキャラの配置が読みやすく、縦漫画に合わせたスピード感のあるアクションが気持ちいいです!!

走り出す後ろ姿や刀を持つ手がめちゃ上手く、構図もかっこいいのにワンパターンでなく工夫を感じます。

登場人物たちの心情もわかりやすく意外性もあって面白い物語でした!

ただ、コメディ寄りだと思ったのにシリアスに終わってしまうもどかしさも感じます。お父さんとの凸凹コンビでなくなってしまう残念さも…

シリアスに終わるにしても、あおいちゃんの豊かな表情が後半なくなって寂しかったので、刀を抜いた後あたりのどこかで、決意の涙を流す描写とかがあると、ベタですがより絵的に感情移入できたかもしれません!

三浦糀 先生

娘と父親の関係性が良く、そこを楽しく読んでいたのですが、カニバリズムのくだりが他のシーンの描きっぷりから浮いていて、ノイズに感じてしまいました。人肉を口にした後で食欲の話をしている部分や、人斬りになる感情の流れの部分も、共感しづらかったです。「人斬りになる」という客観的に見るとマイナスに向かう立場にキャラを置くのであれば、そのキャラに共感できるかどうかは意識したほうが良いと思います。

松本直也 先生

タイトルをダブルミーニングにして、「引退した凄腕」の旨みから「特殊な家で育った故に突出してしまったヒロイン」の旨みへ巧みにシフトしてる構成が面白かったです。どちらも必ず好きな人がいる旨みなので、こういう意識はとても大事だと思います。

しかしその旨みを活かし切ることができていなかったように感じました。特に序盤、ヒロインをダシにして「引退した凄腕」をやってるパートではヒロインのマッチポンプ感が強く、さらにそれが好感度の高いキャラクターが死んでしまう事で取り返しのつかない愚かさに昇華されてしまい、結局最後の本性を表すカッコいいシーンが乗り切れない勿体無いものになってしまいました。

攫われ癖というややリアリティの薄い設定に対し、「本当は強いのにこんな雑魚たちに簡単に攫われていたのか?しかも悪人とはいえ人が死ぬのに?本人もそれを悲しんでいるのに?」と、「普通に暮らしたいから」だけでは処理しきれない矛盾が発生して常に雑念として作品全体に走ってしまっていました。基本設定のコメディタッチなゆるさと、シリアスパートで扱う要素や演出のグロさが合っておらず、良くないギャップを生み出していたとも感じます。これは読者がこの作品をどう読めばいいのかという前提に混乱を引き起こし、好きになるための「世界観」を生成するという視点でマイナスの作用を起こすと思います。ネタに対しての嗅覚はいいと思うので、バンバン描いて考えて、それを美味しく料理する腕を磨いていってほしいです。

編集部講評

「実は娘が強い」という作品の醍醐味がわかりやすく、アクションシーンも迫力のある仕上がりとなっている。一方で誘拐されやすいことや、味方キャラの死など、本来強いのであれば防げた問題が多いので、物語の整合性を意識してほしい。

酒ヶ峰先生特別賞 賞金15万円
ななしぜん 表紙

ななしぜん

SOU

「根暗ちゃん」と呼ばれ、友達のいない少女・名無ムム。ある日、学校のトイレで妖怪・花子さんと出会う。人を怖がらせられず悩む花子さんに、ムムは怖がらせ方を教えることに。孤独な少女と落ちこぼれ妖怪の、歪で不気味な友情物語が始まる――。

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岸馬きらく 先生

独特の味があって目を惹きました。目を見張るような魅力のある表情もいくつもありました。ただ、作品全体として「何を楽しませたいか?」がちょっと分かりにくかったです。

酒ヶ峰ある 先生

絵がめっちゃ可愛くて上手くて、見てて気持ちいいです!線もはっきりしていて、温かみがあり漫画としても見やすい!

ムムちゃんの「くせえ」のコマがめっちゃアクセントになって良い!表情がいい!(笑)

キャラたちがシルエットでも強烈に分かりやすい上、可愛いですね。

強いつかみがあるわけではないのにすぐ惹き込まれるし読んじゃう不思議な作品です。

魚眼パースのかかったざりっとした背景もキャラを引き立てていて、

コマやフキダシの使い方も大胆なのに読みやすくて、表現力が高いです!

ムムちゃんと花子さんの小さな友情がかわいらしく、テニス部と不気味な先生も活きていて魅力的です。

続きが気になります。

三浦糀 先生

先生が怖すぎる…!キャラの感じがすごく良かったです。ただ、おそらく作者さんもキャラが好きだからこそ会話が少し長くなりがちで、全体の話があまり進まず、何の漫画なのか分かりにくくなっている印象を受けました。もう少し情報を整理して、どのくらいの尺で描くか考えて描いてみてもいいかもしれません。

松本直也 先生

絵柄にとても魅力を感じました。可愛くてキャッチーでエッジの効いたディフォルメに荒いキャラ線がいい意味でミスマッチで、シャープな絵柄にシャープではない仕上げが組み合わされてそれが魅力になっていました。ネーム回しも独特で絵柄と合わさって個性のある世界観を生み出していたと思います。

ただその魅力がネックにもなり得て、今の個性の仕上がりでも特定の層には刺さりそうなんですがニッチな方向性ではあると感じます。大ヒット作を狙いに行くつもりならもう少しライト層への訴求力と向き合わないといけないかもしれません。独特なネーム回しも、一般ライト層からすると読みづらさや共感のしづらさと隣り合わせ。絵もネームも良さを残しつつ、より多くの人にリーチできるよう進化をしていってほしいです。

編集部講評

主人公と花子さんが孤独な者同士で仲を深めていく過程に温かさがあり、掛け合いも楽しめた。キャラクターデザインにも個性がある。キャラの数が多く物語が散らかっているように感じたので、「メイン2人の話に絞る」など、わかりやすい構成を意識してほしい。

最終候補 賞金10万円
俺のスクールドリーム 表紙

俺のスクールドリーム

伊月美 鍊

男子高校生の悠は体育の授業を抜け出し、女子の水泳を覗きに行くことを決意する。親友の匡人を巻き込み、前代未聞の覗き作戦を決行することに。持てる知恵と情熱を全て注ぎ込んだ、男子高校生2人のおバカでガチな大作戦が始まる!

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岸馬きらく 先生

爽やかな作画が好きです。女の子を可愛く描けてましたし、男子も表情豊かですから王道の恋愛ものとか書いてもいいかもと思いました。

酒ヶ峰ある 先生

絵が爽やかで、男子生徒たちのわちゃわちゃとした空気感も可愛く、読後感も良かったです!

ただ、男の子たちの友情か、スク水への執念(女子の色気)どちらかにより絞って描いた方が、テンプレぽくなったとしても1話として洗練されるかもです!

あと悠は友達が匡人一人だと断言したの面白いのですが、その割にクラスメイトと仲良さそうすぎかな?と。

回想シーンの匡人の運動音痴のくだりが少し長く感じたので、パスをする瞬間に悠の脳内で思い出すくらいでもいいかなと。

そして保健室から出た後、すんなり辿り着きかけてたのがもったいなかったですかね。コソコソしてる2コマの中でもわーぎゃーしてると楽しさ増すかも?

しかしこの作者さんは周りの意見を気にするより自分の癖を忠実に見つめた方がいいもの描いてしまう気がします…!

三浦糀 先生

日常のくだらないことに着目する着眼点が好きでした。個人的にはもう少し振り切ってギャグを入れてほしかったです。ボールのくだりもやや間が多い印象だったので、テンポを良くしてその分ほかのネタをたくさん入れた方が満足度が高かったかなと思います(先生に怒られた流れでボールを投げた方がテンポが良さそうです)。

松本直也 先生

タイトル通りの古典的な展開が繰り広げられていくのが逆に清々しく好感が持てました。ただ昨今の空気感だと、キャンセルの対象になりかねない内容なので、その辺りは覚悟の上でないといけないかもしれません。

絵柄の好感度が高く、画力もすでに高いうえもっと上手くなっていきそうなんですが表現力にやや乏しく少し固いイメージがありました。普段の絵柄とギャグシーンの崩しの振り幅が狭くギャグがギャグに成りきってない印象の場面もちょこちょこ見られた。それがギャグのキレを邪魔しており、アイディアだけで見ればもっと笑えそうなシーンが、クスッとするくらいにとどまるような勿体無さを感じました。

この辺りはもっとたくさん描いて、見て、学んでいけば自然とほぐれてくるところかと思うのでガンガン描いて実力を伸ばしてほしいです。

編集部講評

キャラクターの表情を魅力的に描けており、特にヒロイン2人はそれぞれ異なる魅力を持った女の子として可愛らしく描けていた。一方で、男子同士のやりとりにはややのめりこみづらさを感じた。関係性や掛け合いがより面白くなる設定・舞台を探ってみてほしい。

エレベーター事件 表紙

エレベーター事件

へん

会社帰り、突然の便意に襲われた男。エレベーターに乗り、なんとかトイレのある一階へ降りようとするも、そこへ後輩女子の容赦ない雑談攻撃が炸裂!刻一刻と限界が迫る中、果たして男は無事トイレに辿り着けるのか!?

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岸馬きらく 先生

面白かったです。好きな人いじめちゃう女の子かわいいですね。この子をメインで膨らませればラブコメになるんじゃないでしょうか?

酒ヶ峰ある 先生

主人公が美形なのにとんでもないコミカルな形相を見せてくれて、必死さが伝わってきて面白かったです。後輩の子もとても可愛い。

無理があるだろ!とツッコミたくなりますが、美男美女の壁ドンという見せ場があるおかげで満足度が高いです!(笑)

そして腹痛の原因は後輩ちゃんの歪んだ愛によるものだった、というオチが綺麗でした。やはり歪んだ愛は良いですね!

気になるところは、冒頭、エレベーターの前にいるのか、トイレにいるのか、イマイチわかりにくかったところですかね。全体的には良かったです!

三浦糀 先生

オチまでの間がスクロールを生かしていて良かったです。好みに合う人には刺さるオチだったと思います。男性の動きが少し分かりにくかったので、もう少しモノローグと女性から見えるカットの差別化を意識してみると良かったかもしれません。せっかくカラーを使えるので、背景色や効果を使うなど、工夫の仕方はたくさんあると思います(※後輩の視点です、が無くても伝わるようにして欲しいです)。

松本直也 先生

ソリッドシチュエーションコメディとしてシンプルに良くまとまっていました。特にオチが良かったです。

ただフリの建て付けは少し弱かったかなと思います。先輩のキャラクターに対しての前フリがほとんどなかったため、彼が後輩に対して「トイレに行きたい」と言えないことへの説得力が弱く、シチュエーションが極まり切らなかった印象。

間口が広いので読めない人がいない漫画ではあるが、どう商業化していくかは課題です。

このシリーズで無限に話を作れるのならそれはそれで凄まじい才能だと思うのでそれならばそれでよし。そうでないなら連載を視野に入れたお話も作り慣れていって欲しいです。

編集部講評

「トイレに行きたい」というワンシチュエーションながら、豊富な顔芸のバリエーションによって最後まで楽しく読むことができた。読者にとっても魅力的な女性キャラのいるラブコメなど、よりストーリー性のある作品にも挑戦してみてほしい。

階段灯八墓階 コダマくん 表紙

階段灯八墓階 コダマくん

黒羽 森

階層ごとに隔離された人類。その最深部で生まれたひねくれ者の少年・コダマくんは、年末掃除の最中に「8つのお宝」を発見する。しかし、そのお宝を狙い総勢1億の敵が襲来!恨み、妬み、嫉み――欲望渦巻く争奪戦が始まる!

作品ページへ

岸馬きらく 先生

勢いが凄い。個性が凄い。ただ凄すぎるので分かるのにカロリーが必要だなと感じます。こういう人は逆に、ベタで王道な話を書くと個性が生きるんじゃないかと思いました。ベタな話を書いたくらいでこの人の個性は消えない。

酒ヶ峰ある 先生

初っ端からあまりに独特で惹き込まれました。ドロドロと流れるような、スクロールをこれでもかと活かした画面の作りで、脳が呑まれるようでした。

何が何だかわからないけど重大なことが起こっていて、コダマくんが命の危機であることは伝わり、気になるピースが盛り盛りで、面白くなりそうな予感しかしませんでした、続きが読みたいですね。

スタジオ4℃で映画化してほしい作風です個人的に…。

三浦糀 先生

この漫画は横より縦のほうが面白い漫画だと思います(誉め言葉です!)。独特の絵と雰囲気がすごく良かったです。不思議な読み味なのは良いのですが、もっとコダマくんを軸に話を進めて、どんな物語であるかを文字ではなく絵で描いて伝えるべきだと思います。

松本直也 先生

独特なネーム回しと絵柄で強い作家性を持っています。縦読みをうまく使いながらハッタリと演出で物語に引き込んでいく導入作りにも圧倒されました。特に序盤は独特のインパクトある作風と年寄りの静かな渋みにギャップがあり、魅力的な世界観が形成されていました。間違いなく光る物がある作家さんだと思います。

​

ただ、その武器であるハッタリと演出でのインパクトある導入がずっと続きそのまま1話が終わってしまった。2話から本格的に始まるのかなと思ったら、2話もハッタリと演出による導入シーンだけで終わってしまった。物語が始まっているようで何も始まっていない。イントロだけが延々と続く曲のようでした。

序盤では光っていた世界観も、若者であるコダマくんにスポットが当たると途端に「年寄りが発生せていた静かな渋み」とのギャップが消え、ただただピーキーで受け入れづらい世界観に変貌してしまった印象でした。

やりたい事がインパクトあるハッタリと演出な人なんだとは思いますが、これ一辺倒ではついてくる読者はごく限られてしまうだろうと思います。

どんな作家を目指すのかによって話は変わるんですが、商業作家になる方向ならもう少し読み手に寄り添い、楽しませ方のバリエーションを増やしてみてください。そして、武器であるインパクトのある演出でや台詞回しを活かしながら、導入的な場面以外も描けるようになるともっと漫画としての魅力が出てくるんじゃないかと思います。

編集部講評

ユーモラスな画風や勢いのあるセリフが印象的で、思わず読み進めてしまった。また、奥行きや立体感を感じさせる、タテ読みを意識した構図も魅力的だった。ストーリーはやや散漫な印象を受けたため、「視点役のキャラを置く」など、整理しながら描いてみてほしい。

有望作品
  • アンダーボディスクランブル

    かわぐちそうた

  • チェリーボーイ・コンバット

    宇威輝

  • 不眠おばけ

    山盛おやさい

総評

岸馬きらく 先生

皆さん上手いです。そして面白いです。ほとんどの作品が見応えがありました。連載してもいいんじゃない? って作品もいくつかありました。なんなんですかね、最近はほんと皆さんレベル高いなあと思います。正直あんまり言えることないんですが、強いていうなら何人か個性が強すぎて、理解するのにカロリーが必要な作品がありました。自分が個性が強く独特であるならそうであるほど、王道でベタな作品を書いた方がよかったりすると思います。まあしかし、皆さん楽しみな人達でした。

酒ヶ峰ある 先生

気合いの入った作品揃いで、よくクオリティ高くこの量を考えて描ききったなと思うものばかりでとても襟を正す気持ちと言うか、モチベーションになりました!

私のコメントなど、納得できなかったら蹴飛ばしてください!

愛を込めて審査員させていただきました。ありがとうございました!

三浦糀 先生

多種多様な漫画があって面白かったです。縦画面を生かした構図は新鮮で、こちらが勉強させていただきました。しかしいくつかの作品で見られたのですが、「これが○○の物語」と説明するのは少しずるいと思います。説明があっても良いのですが、その前にちゃんとそれを出来事として絵で描くべきです。ひと画面に入る絵も文字も限られるからこそ、読者に面白がってもらえる画面作りを意識しながら、今後も執筆してもらえたらと思います。

松本直也 先生

縦読みならではの作品もあれば、縦読みなことを忘れてしまうような作品もあって審査していて楽しかったです。世の中には沢山の才能が潜んでいるんだなと驚きました。

個人的には「続きを読ませる力は強いが、商品価値が発生するほどのキャラクターやパッケージがなかなか生まれない」というのがこれまでの縦読み漫画の課題なのかなと思います。そういうジャンルと割り切ってしまってもいいんですが、それではエンタメとして通りすがりの物になってしまいます。それをすでに覆してしまっている作品はさすがにありませんでしたが、それが出来る可能性を感じる作家さんはいたので、このジャンル自体にエポックメイキングを起こすような進化をしてくれたらいいなと思います。

編集部

大賞受賞の『BRAVE HUNTER』を筆頭に、色濃く個性が表れた、尖りのある作品が多く見られた。また、「この世界観や題材、キャラクターを描きたい」という作り手の熱量が伝わる作品も多く、絵の上手さや構成の巧みさだけでは測れない「熱」を感じられたことも印象的だった。一方で、「読者がどう感じるか」という視点も忘れずに持ってほしい。作中のリアリティを意識して読み手の疑問や違和感を減らしたり、作品のどこを楽しめばよいのかを分かりやすく提示したりと、読者を意識して作品を磨くことで、より完成度は高まるはずだ。これからジャンプTOONでどのような作品を生み出し活躍してくれるのか、非常に楽しみだ。

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